
「コーヒーを飲むと目が覚める」——これは誰もが知っていることですが、実は選ぶ豆や淹れ方によって、カフェインの量が大きく変わることをご存知でしょうか?
「朝はシャキッとしたい」「夜はリラックスしたい」
そんなシーンに合わせてコーヒーを使い分けるために知っておきたい、カフェインとコーヒーの深い関係(品種・産地・抽出条件など)を徹底解説します。
1. まずは「豆」を知ろう:カフェイン量を決める2つの要素
コーヒー豆そのものが持つカフェインのポテンシャルは、主に以下の要素で決まります。

① 品種(アラビカ種 vs ロブスタ種)
カフェイン量に最も影響を与えるのが「品種」です。
- アラビカ種(Arabica):
- カフェイン量:少なめ(約0.9%〜1.4%)
- 特徴: フルーティーな酸味と豊かな香り。スペシャルティコーヒーのほとんどがこれ。
- ロブスタ種(Robusta / カネフォラ種):
- カフェイン量:多い(約1.7%〜4.0%/アラビカ種の約2倍)
- 特徴: 独特の香ばしさと強い苦味。缶コーヒーやインスタント、ブレンドの増量材として使われます。
② 産地と標高の関係
「産地」そのものよりも、その土地の「標高」がポイントです。
植物にとってカフェインは害虫から身を守る「天然の殺虫成分」です。
ですので以下のような傾向になります。
- 高地栽培(High Grown): 害虫のリスクが低いため、カフェイン生成量はやや少なめになる傾向があります。
- 低地栽培: 害虫が多いため、防御反応としてカフェインを多く作り出します(ロブスタ種は低地栽培が主です)。
③ スクリーンサイズ(豆の大きさ)
「豆が大きい=カフェインが多い」と思われがちですが、サイズとカフェイン量に直接的な相関はありません。
スクリーンサイズはあくまで「等級(グレード)」の目安。粒が揃っていると焙煎ムラがなくなりますが、カフェインの強さとは無関係です。
2. 味とカフェインを変える「抽出」の方程式
豆が決まったら、次は「どう淹れるか」です。
以下の3要素を調整することで、カップに溶け出すカフェイン量をコントロールできます。
④ 挽目(Grind Size)
- 細挽き: 表面積が増えるため、カフェインが素早く・多く溶け出します。
- 粗挽き: お湯に触れる面積が小さく、抽出は穏やかになります。
⑤ 抽出時間と温度
- 時間: お湯に触れている時間が長いほど、カフェイン総量は増えます。
- 温度: 温度が高い(95℃前後)ほど、成分が鋭く溶け出します。
⑥ 抽出方法による違い
| 抽出方法 | カフェイン抽出の傾向 |
| ドリップ | 湯量が多く透過するため、抽出効率がよく、一杯あたりの総量は多めになりやすい。 |
| エスプレッソ | 濃度は最強だが、抽出量(約30ml)が少ないため、一杯あたりの総量は意外と少ない。 |
| フレンチプレス | 4分間じっくりお湯に浸すため、カフェインもしっかり抽出される。 |
| 水出し | お湯より溶け出しにくいが、数時間〜一晩漬け込むため、結果的にしっかりカフェインが含まれる場合がある。 |
3. 実践テクニック:シーン別・最高の淹れ方

ここまでの知識を応用して、朝と夜に最適な一杯を作ってみましょう。
朝の目覚めに!ガツンと効く「最強の覚醒コーヒー」
脳のスイッチを入れるには、カフェイン含有量が多くなる「ロブスタ種 × 高温 × 細挽き」が鍵です。
- 豆選び: 「イタリアンロースト」や「エスプレッソブレンド」を選ぶ(ロブスタ種が含まれている可能性が高い)。
- 挽き方: 砂糖より細かい「細挽き」にする。
- 淹れ方: 沸騰直後の高温(92〜95℃)のお湯を使い、豆の量をいつもより少し多めにしてドリップする。
※苦味が強くなるので、ミルクと合わせてカフェオレにするのもおすすめです。
夜のリラックスタイムに!「眠りを妨げない優しい一杯」

夜はカフェインを抑えつつ、香りを楽しむのがポイントです。
- デカフェ(カフェインレス)を活用:
- おすすめは、
値段を抑えたい場合は「マウンテンウォーター製法」などの化学薬品を使わないもの。
デカフェ特有の香りの抜けが気になる方は、「超臨界製法」や「液体二酸化炭素抽出法」などの豆へのダメージが比較てし少ないものを選ぶとよいです。
最近のデカフェは技術が向上しており、驚くほど美味しいです。
- おすすめは、
- 天然の低カフェイン品種を選ぶ:
- ラウリナ種という品種は、生まれつきカフェイン量が通常のアラビカ種の半分以下(約0.6%)。
比較的クリアな口当たりで紅茶のように甘く優しい味わいです。
- ラウリナ種という品種は、生まれつきカフェイン量が通常のアラビカ種の半分以下(約0.6%)。
4. マニア向け知識:アラビカ種の中でも違いはある?
「アラビカ種100%」の中でも、さらに細かい品種によって微妙な違いがあります。
- ティピカ・ブルボン・ゲイシャ系: 標準的なカフェイン量(約1.0〜1.2%)。
- カティモール系(ハイブリッド種): 病気に強くするためにロブスタ種と交配されたルーツを持つため、わずかにカフェインが多め(約1.2〜1.4%)になる傾向があります。
- ラウリナ(ブルボン・ポワントゥ): 前述の通り、突然変異でカフェインが極端に少ない希少種です。
まとめ
コーヒーは「豆選び」と「淹れ方」ひとつで、エナジードリンクのような一杯にも、ハーブティーのような一杯にも変化します。
- 集中したい時: 深煎りブレンドを細挽きで高温抽出。
- リラックスしたい時: 高地栽培のアラビカ種やデカフェを選ぶ。
ぜひ自分のライフスタイルや体調に合わせて、最適なコーヒーを楽しんでください。

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