コーヒー豆知識 抽出

深煎りコーヒーはまずい?苦い?酸っぱい?ドリップのコツも解説!

深煎りの淹れ方

「コーヒーらしい、ガツンとした苦みとコクが欲しい」
「甘いお菓子と一緒に、濃厚なコーヒーを楽しみたい」

そんな時、多くの方が手に取るのが「深煎り」のコーヒー豆ではないでしょうか?
その重厚な味わいは、ゆっくりとした時間を過ごすお供に最適です。

しかし、一方でこんな経験はありませんか?

  • 「苦いだけじゃなく、嫌な雑味や焦げた味がする…」
  • 「深煎りを買ったはずなのに、冷めたらなぜか酸っぱくなった」
  • 「お店で飲むと美味しいのに、家だと美味しく淹れられない」

このような「まずい」と感じる体験から、深煎りコーヒーを敬遠してしまっている方もいるかもしれません。

この記事では、なぜ深煎りコーヒーが「まずい」と感じることがあるのか、
その5つの主な原因を解き明かし、初心者の方でも簡単にお店の味に近づける「美味しい淹れ方のコツ」を、具体的なレシピと共に詳しく解説していきます。

深煎りコーヒーとは?

左:中煎り 中:深煎り 右:中浅煎り

私たちが目にする茶色いコーヒー豆は、もともとは「生豆(きまめ)」と呼ばれる薄緑色の種子です。
この生豆を「焙煎(ばいせん)」というプロセスで加熱することで、
初めてあの香ばしいコーヒーの香りや味わいが生まれます。

焙煎の時間や温度によって、コーヒーの味わいは大きく変わります。

  • 浅煎り(あさいり): 焙煎時間が短い。酸味が際立ち、フルーティーな味わい。
  • 中煎り(ちゅういり): バランス型。酸味と苦みのバランスが良い。
  • 深煎り(ふかいり): 焙煎時間が長い。豆の色は黒に近く、表面にコーヒーの油分が浮かび上がり、テカテカと光っているのが特徴です。

コーヒー豆は元々「酸」を持っていてそれが個性豊かな味わいを作り出しています。

酸が焙煎の過程で苦みやコクに変わっていき味わいが変化していくことで、普段みなさんが飲むコーヒーになっていきます。
深煎りのコーヒーでは焙煎がかなり進むため、豆が持っている酸がほとんど苦みやコクに変わります。

つまり深煎りコーヒーとは、酸味がおだやかで、その分、コーヒーらしいしっかりとした苦みと「コク(味わいの深さや口当たりの重厚感)」を強く感じられるコーヒーなのです。
また、コーヒー豆は焙煎していくと中に炭酸ガスが発生するので、深煎りになればなるほど焙煎直後はお湯と粉が触れたときに泡がたくさん出ます。
この泡は多すぎると抽出時(特にペーパードリップでは)にお湯と粉が触れるのを阻害して抽出の際に十分成分を引き出すことができないこともあります。
焙煎から時間がたつにつれ、豆の中のガスが抜けていき泡の発生が弱まるのでしっかりとコーヒーの成分を抽出できますが、時間がたちすぎると酸化が始まってしまったり、香りが抜け始めてしまいます。
深煎りのコーヒーの飲み頃は焙煎による豆の風味が安定する焙煎3日後からガスが落ち着き、酸化の始まりと香りが抜け始める14日後くらいです。
深煎りの豆の風味のピークは7日~10日前後になることが多いです。

深煎りコーヒーがまずいと感じる理由

深煎りコーヒーがまずいと感じる主な理由は以下の5つです。

深煎りコーヒーが「まずい」は誤解? 豊かな苦みとコクを引き出す、初心者向け「美味しい淹れ方」完全ガイド

「コーヒーらしい、ガツンとした苦みとコクが欲しい」 「甘いお菓子と一緒に、濃厚なコーヒーを楽しみたい」

そんな時、多くの方が手に取るのが「深煎り」のコーヒー豆ではないでしょうか。 その重厚な味わいは、ゆっくりとした時間を過ごすお供に最適です。

しかし、一方でこんな経験はありませんか?

  • 「苦いだけじゃなく、嫌な雑味や焦げた味がする…」
  • 「深煎りを買ったはずなのに、冷めたらなぜか酸っぱくなった」
  • 「お店で飲むと美味しいのに、家だと美味しく淹れられない」

このような「まずい」と感じる体験から、深煎りコーヒーを敬遠してしまっている方もいるかもしれません。

この記事では、なぜ深煎りコーヒーが「まずい」と感じることがあるのか、その5つの主な原因を解き明かし、初心者の方でも簡単にお店の味に近づける「美味しい淹れ方のコツ」を、具体的なレシピと共に詳しく解説していきます。


そもそも「深煎りコーヒー」とは?

私たちが目にする茶色いコーヒー豆は、もともとは「生豆(きままめ)」と呼ばれる薄緑色の種子です。この生豆を「焙煎(ばいせん)」というプロセスで加熱することで、初めてあの香ばしいコーヒーの香りや味わいが生まれます。

焙煎の時間や温度によって、コーヒーの味わいは大きく変わります。

  • 浅煎り(あさいり): 焙煎時間が短い。酸味が際立ち、フルーティーな味わい。
  • 中煎り(ちゅういり): バランス型。酸味と苦みのバランスが良い。
  • 深煎り(ふかいり): 焙煎時間が長い。豆の色は黒に近く、表面にコーヒーの油分が浮かび上がり、テカテカと光っているのが特徴です。

焙煎が進むほど、豆が本来持っている「酸味」の成分が化学変化を起こし、「苦み」や「コク」の成分に変わっていきます。

つまり深煎りコーヒーとは、酸味がおだやかで、その分、コーヒーらしいしっかりとした苦みと「コク(味わいの深さや口当たりの重厚感)」を強く感じられるコーヒーなのです。

なぜ? 深煎りコーヒーが「まずい」と感じる5つの原因

では、なぜあの美味しいはずの深煎りが「まずい」に変わってしまうのでしょうか。主な原因は5つあります。

原因1:【酸化】冷めた時に「嫌な酸っぱさ」がある

これが最も多い原因の一つです。
「深煎りは酸味が少ないはずなのに、なぜ酸っぱい?」と不思議に思うかもしれません。

この酸っぱさは、豆が持つフルーティーな「良い酸味」ではなく、
豆の表面に浮き出た油が空気に触れて古くなった「酸化」による「嫌な酸味」です。

深煎りの豆は表面積が広く、油分も多いため、浅煎りよりも酸化のスピードが速いのです。
よく言われる「コーヒーは冷めるとまずい」の正体は、この酸化した酸味である場合がほとんどです

原因2:【淹れ方】「苦すぎる」「雑味」が出ている

深煎りの豆は、浅煎りの豆に比べて組織がもろく、成分がお湯に溶け出しやすい(抽出されやすい)性質があります。

そのため、浅煎りと同じ感覚で淹れてしまうと、必要な苦みやコクだけでなく、「雑味(ざつみ)」と呼ばれる焦げたような、トゲトゲした不快な味まで抽出されてしまいます。これを「過抽出(かちゅうしゅつ」と呼びます。

原因3:【鮮度】豆の「飲み頃」を逃している

原因1(酸化)とも関連しますが、コーヒー豆には「飲み頃」があります。

  • 焙煎直後(~3日): 豆の中に炭酸ガスが充満しています。
    このガスが多すぎると、お湯が豆の粉に浸透するのを妨害してしまい、
    成分がうまく抽出されず、味が薄くなってしまいます。
  • 飲み頃(焙煎後3日~14日): ガスが適度に抜け、豆の風味が安定します。
    深煎りの場合、特に7日~10日前後が風味のピークと言われることが多いです。
  • 飲み頃過ぎ(焙煎後14日~): ガスや香りが抜けきってしまい、同時に「酸化」が始まります。

「まずい」と感じる深煎りは、この飲み頃を過ぎて酸化が始まっている可能性が高いです。

原因4:【豆の質】「欠点豆」が混入している

コーヒー豆には、「カビ豆」「未成熟豆」「虫食い豆」など、風味を著しく損なう「欠点豆(けってんまめ)」と呼ばれる不良品の豆が一定数含まれています。

質の良いコーヒーショップでは、焙煎前後にこれらを手作業で取り除く「ハンドピック」という作業を必ず行っています。

しかし、安価な豆や品質管理を徹底していないお店の豆には、この欠点豆が混入したままになっていることがあります。
これらが、えぐみや雑味の直接的な原因となります。

原因5:【好み】そもそも強い苦みが苦手

これはシンプルな理由ですが、深煎りの特徴である「しっかりとした苦み」そのものが、個人の好みとして苦手な場合もあります。

深煎りコーヒーを美味しく淹れる4つのコツ

上記5つの原因を踏まえれば、美味しい深煎りコーヒーを淹れるのは難しくありません。
「過抽出(雑味)」「酸化(嫌な酸味)」を防ぐことが最大のポイントです。

鉄則1:【鮮度】「焙煎日」から2週間以内の豆を買う

まず大前提として、酸化した豆は美味しく淹れられません
スーパーなどで「賞味期限」しか書かれていない豆は、いつ焙煎されたかわからないため避けましょう。
焙煎日(ばいせんび)」が明記されていて、焙煎日から2週間以内の新鮮な豆を選びましょう。

鉄則2:【挽き目】「中粗挽き~粗挽き」にする

深煎りは成分が出やすいため、お湯の通りを良くして抽出スピードを調整します
いつも中挽きで淹れている方は、それよりも一段階か二段階、ザラメ砂糖くらいの「粗め」に挽いてみてください。
過抽出による雑味や苦すぎを防ぐ、最も効果的な方法の一つです。

鉄則3:【湯の温度】「低め(83℃~86℃)」で淹れる

温度が高いほど、苦みや雑味は強く抽出されます。
深煎りの場合、沸騰したてのお湯(95℃~100℃)ではなく、少し冷ました「83℃~86℃」くらいのお湯を使いましょう。 温度計がなければ、沸騰したお湯を別のポットに移し替え、1~2分ほど待つと近い温度になります。
これにより、トゲトゲした苦みが取れ、まろやかな味わいになります。

鉄則4:【抽出時間】「短め(2分半目安)」で淹れる

雑味は、抽出の後半(最後)に出てきやすい成分です。 ダラダラと時間をかけて抽出するのではなく、お湯を注ぎ始めてから約2分~2分半でドリッパーを外すイメージで、スッキリと淹れ切りましょう。

おすすめ深煎りハンドドリップ抽出レシピ一杯分

上記の4つの鉄則を使った、具体的なハンドドリップの淹れ方をご紹介します。

【用意するもの】

  • 深煎りのコーヒー豆:15g(中粗挽き)
  • お湯:85℃ のものを 225g (ml)
  • 器具:ドリッパー、ペーパーフィルター、サーバー、スケール(はかり)、タイマー

【淹れ方ステップ】

  1. 準備 ペーパーフィルターをセットし、一度お湯を通してフィルターをリンス(湯通し)します。
    (※紙の匂いを取り、器具を温めるため。サーバーに溜まったお湯は捨てます)
  2. 蒸らし (0:00~0:30) タイマーをスタート。
    15gの粉をセットし、中心からゆっくりと 25g のお湯を注ぎ、粉全体を湿らせます。
    そのまま 30秒 待ちます。(※この「蒸らし」で豆の中のガスが抜け、成分が出やすくなります)
  3. 1投目 (0:30~) 粉の中心に「の」の字を書くように、ゆっくりと 50g のお湯を注ぎます。(合計75g)
  4. 2投目 (1:00~) お湯が少し引いたら、さらに 50g のお湯を注ぎます。(合計125g)
    (※ドームが崩れないよう、縁(ふち)には直接お湯をかけず、中心部をメインに注ぎます)
  5. 3投目 (1:30~) 最後に 50 g のお湯を注ぎます。(合計175g)
    4投目 (2:00~) 最後に 50 g のお湯を注ぎます。(合計225g)
  6. 落ち切り (~2:30) お湯を注ぎ切ったら、ドリッパーにお湯が残っていても 2分30秒 を目安にサーバーから外します。
    (※これで雑味が出るのを防ぎます)

レシピの狙い

お湯の温度は深煎りなので過抽出にならないように低めで淹れる。
90℃以上にすると苦みの成分が多く抽出されてしまうので80℃台にする。

蒸らし時間は短めに20秒~30秒の間にする。

注湯は粉の中心にゆっくりお湯を乗せるようなイメージでのの字を書きながらコーヒーのドームを崩さないように注ぐ。

抽出時間は短めにして苦みや雑味を出さないようにする。

味の調整(トラブルシューティング)

上記のレシピで淹れてみて、好みに合わない場合はまずは以下のように調整してみてください。

CASE 1:苦すぎる・雑味を感じる

  • 原因: 過抽出です。
  • 対策:
    1. 挽き目を「もっと粗く」する。(最優先)
    2. お湯の温度を「さらに低く」する。(例:85℃ → 83℃)
    3. 抽出時間を「短く」する。(例:2分15秒でドリッパーを外す)

あと、細かいテクニックでいうと、コーヒードームを崩さないように粉の中心にのの字を書くようにお湯を注ぐことで雑味をあまり落とさないで入れる事ができます。

CASE 2:味が薄い

  • 原因: 抽出不足です。
  • 対策:
    1. 挽き目を「少し細かく」する。(最優先)
    2. お湯の温度を「少し高く」する。(例:85℃ → 88℃)
    3. (もし粗挽きで味が薄い場合)粉の量を増やす。(例:15g → 16g)

CASE 3:やっぱり酸っぱい

  • 原因: 豆の「酸化」が疑われます。
  • 対策:
    1. 【最善策】新しい(焙煎日から2週間以内)豆を買い直す。
    2. 【応急処置】酸化の酸味をごまかすテクニックです。
      • お湯の温度を「上げる」(90℃など)
      • 挽き目を「細かく」する
      • あえて「苦み」や「雑味」を強く出すことで、相対的に酸味を感じにくくします。
        ただし、これは味のバランスを崩す可能性が高いため、最終手段です。
        また、人間は熱いと酸味を感じにくいため、冷める前に飲み切るのも手です。

さらに細かなレシピの調整

もう少し具体的なケースでの味わいの調整方法は以下の通りです。

  • 挽目を粗くする
  • 湯温を下げる
  • 抽出時間を短くする

上記の3つを試すことで酸味を抑えることができます。

挽目を粗くすることで苦みの成分が出過ぎるのを抑えることができます。
もし粉を粗くしてコーヒーが薄く感じたら粉の量を増やして調整しましょう。
湯温を高くすればするほど苦みの成分の溶け出す量が多くなります。
湯温を下げると香りはやや出ずらくなりますが、マイルドな味わいになります。

  • 挽目を粗くする
  • 湯温を下げる
  • 抽出時間を短くする
  • コーヒードームの中心のみに注ぐ

基本的には苦みと同じ調整方法です。

雑味の成分は苦みよりさらに後に溶け出すので微調整することでおいしい苦みは残しつつ、雑味を減らすことができます。
また、コーヒードームを崩さないように粉の中心にのの字を書くようにお湯を注ぐことで雑味をあまり落とさないで入れる事ができます。

  • 挽目を細かくする
  • お湯の温度を上げる
  • 抽出時間を延ばす

基本的に深煎りコーヒーで酸味を強く感じる場合は豆が酸化してしまっているので、鮮度の良い豆を買って飲むのが一番ですが、多少の酸味のごまかし方のテクニックをお伝えします。
基本的には、湯温を上げたり、抽出時間を延ばしたり、粉を細かくしてみて苦みを多く抽出することで全体の味の酸味の量の比率を抑えて酸味を感じにくくします。
しかし、これらをすると前述のとおり苦みや雑味が強く出ることが多いので注意してください。
また、人間は高温では酸味を感じにくいので、温度が下がる前に飲みきってしまいましょう!

まとめ

深煎りコーヒーのまずい原因は

の5つが原因であることがほとんどです。

まずい深煎りコーヒーは、酸化していて冷めると酸っぱかったり、雑味や苦みが強すぎたりします。

深煎りのコーヒーのおすすめの淹れ方は、温度低めで少し粗めに挽いて、蒸らしと抽出時間を少し短めにしましょう。

本当に美味しい深煎りコーヒーは、ただ苦いだけではなく、
チョコレートやキャラメルのような豊かな香り、まろやかな苦み、そしてリッチなコク(口当たり)を持っています。

「新鮮な豆」を選び、「粗めの挽き目」「低めの湯温」「短めの抽出時間」という4つの鉄則を守るだけで、
あなたの淹れる深煎りコーヒーは劇的に美味しくなるはずです。

ぜひ、苦手意識を捨てて、奥深い深煎りコーヒーの世界を楽しんでみてください。

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