雑記

仕事の「きつさ」をRPEという概念を使い見える化してコントロールする方法!

「なんだか最近ずっと疲れているな…」「仕事が思うように進まない…」

現代社会で働く多くの人が、このような悩みを抱えているのではないでしょうか。忙しい毎日の中で、私たちはつい自分の心身の限界を超えて頑張りすぎてしまうことがあります。
仕事の負荷をコントロールする指標があればいいのになと私はずっと考えています。
その指標を活用することで、健康的に無理なく仕事をこなすことができ、結果として効率的に自己成長や成果達成を促せるのではないかと仮説を立てました。

そこで注目したいのが、RPE(自覚的運動強度)という考え方です。
私がやっているスポーツのパワーリフティングの世界で多く使われている疲労管理の指標ですが、これをヒントにして仕事の負荷を考えました。
もともとは運動の世界で使われてきたこのRPE(自覚的運動強度)という指標、実は私たちの仕事の負荷管理にも非常に役立つのではないでしょうか?

この記事では、RPEの基本的な概念から、仕事への具体的な応用方法、そしてRPEを活用することで得られる未来について、分かりやすく解説していきます。

RPEって何?~「どれだけきついか」を数値で捉える~

RPEとは、“Rate of Perceived Exertion”の略で、日本語では「自覚的運動強度」と訳されます。

これは、心拍数や持ち上げた重さといった客観的な数値ではなく、「その活動を、自分自身がどれだけきついと感じたか」**という主観的な感覚を数値で表したものです。

ポイントは、身体的な疲労だけでなく、精神的なプレッシャー、ストレス、睡眠不足といった要因も、この「きつさ」に影響を与えるという点です。

RPEを意識する目的は、自分自身の身体や心の状態をより深く理解し、無理のない範囲で活動量をコントロールすることにあります。

[ここにRPEスケールのイラスト(例:安静時から徐々に苦しそうな表情に変わっていく顔のイラスト)を挿入すると良いでしょう]

RPEスケール:あなたの「きつい」はどのレベル?

一般的に、RPEは0から10までの10段階スケール(ボルグスケールCR10とも呼ばれます)で評価されます。それぞれの数値がどのような感覚に対応するのか、目安を見てみましょう。

RPE値感覚の目安
0安静時、何もしていない
1非常に楽
2
3やや楽
4ややきつい
5きつい
6かなりきつい
7非常にきつい
8極めてきつい
9限界に近い
10限界、これ以上できない

このスケールを共通言語として使うことで、自分自身の「きつさ」を客観的に、そして他者とも共有しやすくなります。
また、負荷に徐々に体を慣らしていくときや、目的の能力向上のための適切な負荷を選択する際に、「きつさ」という主観を「数字」という客観的な指標で表現できるため効率よくアプローチできるようになります。

RPEの応用例:スポーツの世界ではどう使われている?

RPEが仕事の負荷管理にどう役立つのかを見る前に、まずはスポーツ分野での活用例を見てみましょう。

1. RPEと有酸素運動の効果

有酸素運動では、RPEに応じて期待できる効果が変わってきます。

RPE (自覚的運動強度)運動の感覚会話の目安期待される主な効果具体的な例(目安)
0-1何もしていない、非常に楽歌を歌える疲労回復座っている、寝ている
2-3楽、軽く努力を感じる歌を歌える、全く息が上がらないリカバリー、アクティブリカバリー
血流促進、疲労回復、リフレッシュ効果
ゆっくりとした散歩、軽いウォーキング
4-5中程度、少しきついと感じるが維持できる会話ができるが、息は少し弾む脂肪燃焼、持久力の基礎向上、心肺機能の維持
長時間継続しやすい、効率的なエネルギー利用
早歩き、軽いジョギング、サイクリング
6-7ややきつい、かなり努力が必要一語一句しか話せない、かなり息が上がる心肺機能の向上、持久力の大幅な改善
Vo2maxの向上、競技パフォーマンスの改善
ジョギング、水泳、早いジョギング
8-9非常にきつい、最大限に近い努力一言も話せない、呼吸が限界に近い最大心肺能力の向上、乳酸閾値の引き上げ
短時間で強い刺激、高強度のパフォーマンス向上
ランニング、高速サイクリング、全力のインターバル
10限界、これ以上はできない、完全に疲弊した完全に会話不可能、呼吸が限界限界の打破、最大パフォーマンスの発揮
競技本番での追い込み、精神的な強さの向上
全力スプリント

自分の感覚(RPE)を信じて運動強度を調整することで、目的に合ったトレーニング効果を得やすくなります。

2. RPEと筋力トレーニングの効果

筋力トレーニングでは、RPEは「あと何回その動作を繰り返せるか」を示すRIR (Reps In Reserve) と密接に関連しています。

  • RPE 10 = RIR 0 (もう1回もできない限界の状態)
  • RPE 9 = RIR 1 (あと1回はできる状態)
  • RPE 8 = RIR 2 (あと2回はできる状態)

このように、RPEはトレーニングの追い込み度合いを測る客観的な指標となるのです。

RPE強度の目安・RIRの目安期待される主な効果
0-3ウォーミングアップフォーム確認、神経系の活性化
4-5軽い・RIR 5以上筋持久力の向上、メインセットへの準備
6-7中程度・RIR 3-4筋肥大の促進、基礎的な筋力向上
8-9きつい・RIR 1-2最大筋力の向上、高強度での効率的な筋肥大
10限界・RIR 0限界への挑戦、神経系の適応、精神的な強さ(扱いに注意)

RPEがなぜ用いられるか?

近年パワーリフティングでは、このRPEを活用したトレーニングが主流になりつつあります。
大きな理由としては、その日の調子によって扱える最大重量が変わることによって決めたメニューが遂行できずに怪我のリスクを減らしたり、目的通りの効果が得られないといったことを避けることができます。

仕事の「きつさ」もRPEで捉えよう!

さて、ここからが本題です。スポーツで有効なRPEの考え方を、私たちの「仕事の負荷」に応用してみましょう。

「仕事の負荷」と聞くと、残業時間やタスクの量といった物理的な量を思い浮かべるかもしれません。しかし、実際にはそれだけではありません。

  • 精神的な負担: プレッシャー、不安、焦り、イライラ
  • 求められる集中力: 高度な思考や精密な作業
  • 締め切りプレッシャー: 時間的な制約
  • 人間関係: コミュニケーションの難しさや対人ストレス
  • 問題解決の複雑さ: 未経験の業務や難易度の高い課題

これらの要素も、私たちの感じる「きつさ」に大きく影響します。RPEを用いることで、こうした「見えない負担」を含めた主観的なきつさを可視化し、客観的なデータだけでは気づきにくい心身の状態を把握する手助けになります。

仕事のRPEで得られるメリット

  • 燃え尽き症候群の予防: 自分の限界を早期に察知し、無理をしすぎる前に対処できます。
  • 効率的な自己成長:各RPEにおける効果を把握しておくことで負荷調整をうまくコントロールできるようになり、効率的に自己成長できます。
  • 生産性の向上: 心身が健康な状態を維持することで、集中力やパフォーマンスが安定します。
  • ワークライフバランスの改善: 仕事の負荷を適切にコントロールすることで、私生活との調和を図りやすくなります。

あなたの仕事の「きつさ」は?仕事版RPEスケールと注意点

仕事の負荷に特化したRPEスケールと、それぞれのレベルで期待される状態、そして注意すべき点を見ていきましょう。
特に、RPEが8以上の状態が長く続くことのリスクを理解しておくことが重要です。
これは、あくまでもRPEを応用した私の独自理論であることは否めません。私個人の意見と生成AIを使って、仕事の負荷をRPEで当てはめた表が以下の通りになります。

RPE (自覚的負荷)仕事の感覚(主観)集中度・精神的負荷期待される効果・懸念される点具体的な例(目安)
0-1何もしていない、完全にリラックスゼロ完全な休息、リフレッシュ
心身の回復に最適な状態。
休日、休憩時間、睡眠中
2-3非常に楽、ほとんど努力がいらない、ルーティンワーク低い(集中は必要だが、負荷は感じない)リラックス、基礎的な業務遂行、ウォーミングアップ
気分転換、ルーティン作業の効率化、新しいタスクへの導入。心身への負担はごくわずか。
軽いメールチェック、簡単な資料整理、日次報告の入力(定型業務)
4-5やや楽〜中程度、スムーズにこなせるが、注意は必要中程度(安定した集中力が必要)安定した生産性、効率的な作業、学習と成長の機会
集中力を保ちながら業務を遂行できる理想的な状態。新しいスキル習得や問題解決に取り組む余裕がある。創造性や自律性が発揮されやすい。
通常の会議、定型業務の遂行、企画書のドラフト作成、一般的な顧客対応
6-7きつい、努力が必要、集中力が求められる高い(集中力が必要、精神的な負担が増える)高い集中力による成果、スキルアップ
重要なプロジェクトの推進、複雑な問題解決、期限のあるタスクへの対応。短期的に高い成果を出すことが期待できるが、継続すると疲労が蓄積しやすい。休憩や気分転換が重要になる段階。
重要なプレゼン資料作成、緊急の顧客課題対応、新たなシステムの導入、チーム内での複雑な調整
8-9かなりきつい〜非常にきつい、最大限に近い努力非常に高い(プレッシャー、極度の集中)短期的な高パフォーマンス、突破力
危機的状況への対応、タイトな締め切りへの追い込み、緊急性の高い問題解決。高い集中力と決断力が求められ、短期的には驚くほどの成果を出すことがある。しかし、この状態が続くと心身への負担が極めて大きく、燃え尽き症候群や健康問題のリスクが急増する
困難なクレーム対応、複数プロジェクトの同時進行とデッドライン、全社を巻き込むような重大な問題解決、大規模なシステム障害対応
10限界、これ以上はできない、完全に疲弊した極限(心身ともに限界)肉体的・精神的な限界、健康被害のリスク
このレベルは、通常、避けられるべき状態。心身ともに疲弊しきっており、思考力、判断力、創造性が著しく低下する。重大なミスを招きやすく、健康への深刻な影響(うつ病、過労死など)につながる可能性がある。即座に休息と介入が必要なサイン。
長期にわたる過重労働の末、体調を崩した状態、精神的に追い詰められ業務が手につかない状態

自分自身の成長や達成感を得られる領域は、RPE6-9ですので仕事をこの範囲で行うことを意識しつつ、適度に休息をいれて仕事するとで、体調やメンタル面を損なわずに、長期的に見て効率よく自己成長を促せるのではないかと思います。
RPE 6-7 は、成長や達成感につながる一方で、これが常態化すると疲労が蓄積します。RPE 8以上が続くようなら、業務量の調整、十分な休息、上司や同僚への相談といった対策が不可欠です。

RPEを活用した仕事の負荷管理:5つの実践ステップ

では、実際にRPEを日々の仕事にどう取り入れれば良いのでしょうか?具体的なステップをご紹介します。

  1. RPEの概念共有と共通認識の形成: まずは、あなた自身やチームメンバーがRPEスケール(特に仕事版)を理解し、「このくらいのきつさがRPEいくつ」という共通の物差しを持つことがスタートです。
  2. 日々のRPEの自己評価と記録: 一日の終わりや、大きなタスクが終わったタイミングで、その日の仕事全体の「きつさ」をRPEで評価し、記録する習慣をつけましょう。個人的にはノートを使っていますが、他には手帳、スケジュール帳、メモアプリ、スプレッドシートなどが活用出来ると思います。
  3. 振り返りと要因分析: その日の業務終わり、週に一度、あるいは月に一度など、定期的に記録したRPEの推移を振り返ります。
    特にRPEが高かった日は、何が原因だったのか(業務内容、業務量、突発的なトラブル、体調、人間関係など)を具体的に分析しましょう。
  4. 対策の検討と実行: 分析結果に基づいて、具体的な対策を考え、実行に移します。
    • 業務量の調整: 優先順位を見直す、他の人に協力を依頼する
    • 休憩の取り方: 短い休憩をこまめに挟む(ポモドーロテクニックなど)
    • 業務プロセスの効率化: 無駄な作業をなくす、ツールを活用する
    • ストレス軽減策: 自分なりのリフレッシュ方法を見つけて実践する
  5. 必要に応じたコミュニケーション: 自分のRPEの状況や分析結果、困っていることなどを、上司やチームメンバーと建設的に共有しましょう。
    業務の調整をお願いしたり、サポートを求めたりすることも大切です。これは、個人だけでなく、組織全体の働きやすさ向上にも繋がります。

RPE管理で手に入れる、より良い未来

RPEを活用した仕事の負荷管理を継続することで、個人にも組織にも多くのポジティブな変化が期待できます。

個人の視点

効率的な自己成長:客観的指標で負荷をみることで、自分の目的とする効果を得られるように負荷を調整することができるようになります。

  • 心身の健康維持: ストレスを早期に発見し対処することで、燃え尽き症候群を予防し、睡眠の質も向上します。
  • 生産性の持続: 集中力やモチベーションを保ち、質の高い仕事を続けられるようになります。
  • ワークライフバランスの向上: 仕事と私生活の調和が取れ、自己成長のための時間も確保しやすくなります。

組織の視点

  • 従業員のエンゲージメント向上: 社員が主体的に仕事に取り組み、組織への貢献意欲が高まります。
  • 離職率の低下: 働きやすい環境が整備されることで、人材の定着に繋がります。
  • チーム全体の生産性向上: メンバー間の負荷が適切に分散され、協力体制が強化されます。
  • 健康的で持続可能な組織文化の醸成: 従業員の心身の健康を重視する風土が育ちます。

まとめ:RPEを使って健康的に働いて自己成長につなげることができる

今回は、RPEを活用した仕事の負荷管理についてご紹介しました。

日々の忙しさの中で、私たちはつい自分の心身の声を聞き逃しがちです。RPEというツールを使って、自分の「きつさ」を客観的に把握し、適切に対処することで、より健康で、より生産的に、そしてより充実した働き方を実現できるはずです。

ぜひ、今日からあなたの「RPE」を意識してみてはいかがでしょうか。

この記事が、皆さんの日々の業務や生活の質の向上に、少しでもお役に立てれば幸いです。

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